東京高等裁判所 昭和25年(う)5089号 判決
刑法第二百四十条前段の強盜傷人の罪は強盜を為す者が強盜を為す機会において他人に傷害を加えたるにより成立するものであつてその強盜が既遂であると若しくは未遂であるとは問わない。従つて所謂強盜傷人罪を問擬する場合には右刑法第二百四十条前段を適用すれば足りることは所論のとおりである。しかし原判決のようにその判示事実について更に同法第二百三十六条第一項を引用したからというて違法ではない、蓋し右刑法第二百四十条の強盜は同法第二百三十六条第一項の場合ばかりでなく同法第二百三十八条第二百三十九条により強盜をもつて論ずべき場合をも包含するものであるから原判決はこれ等と区別明示する為注意的に引用したものと解せられるからである。
而してこの場合所論のように刑法第四十四条第二百四十三条を適用すべきものでないことは前段説示の理由によつて了解せらるべく結局原判決には所論のように擬律の錯誤または理由のくいちがいがあると為すことはできない。
論旨は理由がない。